圧倒的な安定感で2023年から2連覇を遂げていた新家スターズ(大阪)が、大会初戦で涙――。全日本学童大会の2回戦リポートの第3弾は、悠久山野球場での3試合の写真ダイジェストのほか、新家ら元王者3チームが登場した水原球場での2試合の写真を交えて、全16試合の結果をお伝えしよう。出そろったベスト16のうち、7チームまでが初出場組となっている。
(写真&文=鈴木秀樹)
(写真=福地和男)
■2回戦/悠久山野球場
◇8月14日▽第1試合
戸尾、打者10人で大逆転逃げ切り
[埼玉]初出場
西埼玉少年野球
040000=4
01060 X=7
戸尾ファイターズ
[長崎]2年連続10回目
【西】香川、新井、高橋-矢澤
【戸】佐保-藤永
二塁打/香川(西)、柴田、田川、石崎、藤永、梅崎(戸)
【評】西埼玉は2回、早川暖真の安打と四球、磯部煌稀の安打で満塁とし、内野ゴロ野選で先制。さらに関川暖太と香川幹大主将の連続適時打で、この回、計4点を奪った。一方の戸尾は2回裏に四死球と敵失により、無安打で1点。4回には自慢の「打ち出すとつながる」打線が「やっとつながった」(松本大三郎監督)。二死走者なしからの四球に続き、柴田太郎主将と田川綾人(5年)の連続二塁打、さらに申告故意四球を挟み、林大翔の適時打で同点に。暴投で勝ち越し点を奪うと、石崎翔太、藤永将生も連続適時打を放ち、西埼玉を一気に突き放した。戸尾先発の佐保壱晟は中盤以降立ち直り、最終6回には投球数「69」で迎えた最後の打者を捕邪飛に打ち取り、完投勝利を挙げた。戸尾・松本監督は「試合途中には(2回の4失点で)泣いてる子もいましたが、すぐにケロリとしていつも通り。まあよくやってくれました」。西埼玉・綿貫康監督は「やはり全国の戦いは厳しい。ただ、目標だった大会出場を果たし、1勝できた。すべてが良い経験。子どもたちには感謝です」と振り返っていた。(了)
2回表、西埼玉の打者一巡の猛攻は五番・早川の右前打(上)から始まった。一死満塁から一番・香川主将は右へ2点二塁打(下)
4回裏、戸尾は二死一塁から二番・柴田主将(上)と三番・田川(5年=下)の連続二塁打でまず2点
六番・石崎(上)と七番・藤永(下)も連続の適時二塁打など、戸尾は4回裏で7対4と大逆転
▽第2試合
8度目Vへ、長曽根が完勝
[開催地/新潟]初出場
東中野山ブルーシャークス
000000=0
11103 X=6
長曽根ストロングス
[大阪]3年ぶり18回目
【東】佐川、相馬-吉田
【長】森川、谷脇、山瀬-岩﨑
二塁打/吉田(東)
【評】長打は東中野山の四番・吉田歩が2回に放った二塁打1本のみ。東中野山打線は長曽根の投手陣を攻めあぐね、この1安打のみの完封負けを喫した。一方の長曽根も単打のみの4安打ながら、そのすべてを得点に結びつけ、さらに四死球や敵失での走者もきっちりかえして快勝。長曽根らしい、積極的な走塁を基本にした、そつのない攻撃による得点力に加え、3人で完封リレーを完成させた投手陣の調子が上向きなのも頼もしい。守備機会が多い三塁でファインプレーを連発、五番打者としても活躍の5年生の吉見憲眞は、安打性のボテボテのゴロを好ダッシュでさばき、素早く一塁に送球してアウトに。それでも、「守備では素早い判断と反応を心がけています。でも、あの打球はグラブの(芯ではなく)土手で捕ってしまいました」と、むしろ反省していた。熊田耐樹監督は「ピッチャーが頑張ってくれている」と、完封勝ちに納得の表情だった。(了)
一番・岩﨑海斗(上)のヒットから一死三塁とし、三番・月田拓斗(下)の内野ゴロで1点。長曽根は1回、3回と同様の攻め手でリードした
長曽根は三塁手の吉見(5年=上)が好守を連発。二番手の谷脇蒼(下)は2回を無失点投球
東中野山(上)は守る時間が長くなり、5回裏には守りのミスも。長曽根は吉見の内野安打で二走・森川壱誠主将が生還(下)など、6対0と突き放した
▽第3試合
1986年王者も16強入り
[秋田]28年ぶり5回目
牛島野球スポーツ少年団(秋田)
003100=4
000000=0
志賀学童野球クラブ
[石川]初出場
【牛】東海林、渡辺-齊藤
【志】藤田、竹田、藤田、松田-松田、奥野、松田、奥野
三塁打/伊藤駿(牛)
二塁打/齊藤、渡辺(牛)
【評】志賀学童は1回裏、先頭の藤田隆盛が右前打と盗塁、バントで一死三塁の好機を得るも、牛島の堅守に阻まれ先制ならず。逆に、牛島は好守備でピンチを脱したことでリズムに乗る。3回には五十嵐陽翔の内野安打と敵失で先制に成功すると、その後、利部里仁(5年)、齊藤成流(5年)の連打で得点を加え、この回3点。4回にも先頭の五番・伊藤駿が三塁打を放ち、相手守備が乱れる間にホームを陥れ、4対0とした。一方、先発のエース・東海林大志は速球中心の力強い投球で志賀学童打線を抑え、無失点投球。最終6回二死、最後のバッターを迎える直前に既定の投球数「70」に達し、マウンドを降りたが、そのまま逃げ切って勝利を挙げた。牛島・吉田敏雄監督は「ウチはピッチャーを中心とした守りのチーム」と説明し、「初回のピンチをしのいだことで、リズムに乗ることができました」。好投の東海林は「調子が良く、打たせて取るピッチングができました」と笑顔だった。(了)
1回裏、志賀学童は三走・藤田が一死からの二ゴロで本塁を突くも間一髪でアウト(上)。牛島は3回表、二走の五十嵐が敵失で生還して先制(下)
3回表、適時失策で2点を得た牛島は、なおも三番・齊藤の二塁打(上)で3点目。続く4回には伊藤駿が三塁打と敵失で生還する(下)
志賀学童(上)は6回表に意地。松田陽翔主将の中前打で二死満塁とし、完封ペースだった牛島の東海林(下)は70球に達して降板。そして押し出しで1点
■2回戦
All Results
写真/福地和男
※チーム名前後の数字は大会出場回数。開催地=新潟
大会連覇中の大阪・新家スターズ(上)と、2018年から2連覇の滋賀・多賀少年野球クラブ(下)が激突した
【エコスタ新潟】
新潟①旭スポーツ少年団9対2庄野シリウス①三重
東京⑥不動パイレーツ9対1湧別マリナーズ①北海道北
奈良①田原本南リトルヤンキース14対0沖水ジャイアンツ①宮崎
1回裏、新家の二番・松瀬叶愛が左前打(上)。2回裏、多賀の中堅手・大塚堅史主将が飛球をスライディング捕球(下)
【みどりと森球場】
宮城①富谷ストロングスポーツ少年団2対0江津ジュニアベースボールクラブ①島根
福岡①木屋瀬バンブース10対6越前ニューヒーローズ③福井
3回表、多賀は三番・岡本律希の右前打(上)で2点目。その裏、新家は竹添來翔主将の右前打(下)から反攻に転じて1点を返す
【悠久山野球場】
長崎⑩戸尾ファイターズ7対4西埼玉少年野球①埼玉
大阪⑱長曽根ストロングス6対0東中野山ブルーシャークス①開催地
秋田⑤牛島野球スポーツ少年団4対1志賀学童野球クラブ①石川
4回裏、新家の二番・杉坂海斗(5年)が同点打(上)。5回表、多賀の一番・奥野悠太が中前へ勝ち越しタイムリー(下)。これが決勝打に
【三条スタジアム】
愛知⑦北名古屋ドリームス3対1上市ベースボールクラブ①富山
京都②伊勢田ファイターズ9対2秦スポーツ少年団③高知
2017年優勝の北海道南・東16丁目フリッパーズ(上)と、大激戦区・東京の第2代表・越中島ブレーブス(下)が激突
【見附市野球場】
千葉⑥豊上ジュニアーズ2対1常磐軟式野球スポーツ少年団㉔福島
佐賀①大坪赤門南波多野球部6対1坂祝ホワイトセブン①岐阜
1回表、長島光毅の先頭打者安打(上)から越中島が先制。東16丁目の川口琉輝-徳田隆之介のバッテリー(下)は、2回から5回まで相手を無安打に封じることに
【新発田市野球場】
青森①弘前レッドデビルズ9対7茎崎ファイターズ⑫茨城
鹿児島②大龍ビッグドラゴンズ4対3明石ボーイズ①兵庫
東16丁目は1回裏、一番・丹生泰生(上)からの4連打と敵失で3点。2回は田村智久の適時二塁打(下)など5安打11人の猛攻で9対1に
【阿賀野水原球場】
滋賀⑱多賀少年野球クラブ4対2新家スターズ⑤前年度優勝・大阪
北海道南⑨東16丁目フリッパーズ10対1越中島ブレーブス②東京第2
苦しい戦いとなった越中島だが、三塁手の宮地佑典(上)は本塁好返球で三走をアウトに。一木嶺(下)はラスト2回をパーフェクト投球